別冊

雪中の火(北越雪譜)1/32018/02/02 00:50

北越雪譜初編 巻之中
   越後湯沢 鈴木 牧之 編撰
   江  戸 京山人百樹 刪定

 ○雪中の火 1/3

 世に越後の七不思議と称する其一ツ蒲原郡(かんばらこほり)妙法寺村の農家炉中の隅石臼(すみいしうす)の孔(あな)より出(いづ)る火、人皆(みな)奇也として口碑につたへ諸書に散見す。此火寛文年中始(はじめ)て出(いで)しと旧記に見えたれば、三百余年の今において絶(たゆ)る事なきは奇中の奇也。天奇を出す事一ならず。おなじ国の魚沼郡(こほり)に又一ツの奇火(きか)を出せり。天公(てんたうさま)の機状(からくりのしかけ)かの妙法寺村の火とおなじ事也。彼は人の知る所、是は他国の人のしらざる所なればこゝに記(しるし)て話柄(はなしのたね)とす。
「校註 北越雪譜」野島出版より(P.45~47)

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 ○雪中の火 1/3

|| 世に越後の七不思議と称する其一ツ蒲原郡(かんばらこほり)妙法寺村の農家炉中の隅石臼(すみいしうす)の孔(あな)より出(いづ)る火、人皆(みな)奇也として口碑につたへ諸書に散見す。

■ 〔越後の七不思議〕といわれるその一つに、「蒲原郡妙法寺村の隅石臼」がある。
それは妙法寺村の農家の竈の傍の隅石臼の穴から火が燃えているのです。
この話は不思議なこととして、言い伝わり諸書にも見かけます。

||此火寛文年中始(はじめ)て出(いで)しと旧記に見えたれば、三百余年の今において絶(たゆ)る事なきは奇中の奇也。天奇を出す事一ならず。

■この火は寛文時代の頃に初めて火が出てきたと、古文書にもあるので既に三百年経過しても萌えつづけているという奇妙な事例です。
天がこのような奇瑞を顕すのは一つではない。

||おなじ国の魚沼郡(こほり)に又一ツの奇火(きか)を出せり。天公(てんたうさま)の機状(からくりのしかけ)かの妙法寺村の火とおなじ事也。彼は人の知る所、是は他国の人のしらざる所なればこゝに記(しるし)て話柄(はなしのたね)とす。

■同じく越後の国は魚沼郡にも不思議な火を出している場所があるのです。
お天道様の仕掛けは、妙法寺村の火と同じ仕組みです。
妙法寺村の火は有名ですが、魚沼郡の火のことは他所には知られていないのでここに話のタネとしてご紹介しましょう。



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