熊捕(北越雪譜)2/7
北越雪譜初編 巻之上
越後湯沢 鈴木 牧之 編撰
江 戸 京山人 百樹 刪定
○熊捕(くまとり) 2/7
此者らが志(こゝろざす)所は我国の熊にあり。さて我山中に入り場所よきを見立(みたて)、木の枝藤蔓を以て仮に小屋を作りこれを居所(ゐどころ)となし、おの/\犬を索(ひき)四方に別(わかれ)て熊を窺(うかゞ)ふ。熊の穴居(こもり)たる所を認(みつくれ)ば目幟(めじるし)をのこして小屋にかへり、一連の力を併(あはせ)て、これを捕る。その道具(だうぐ)は柄(え)の長さ四尺斗りの手鎗(てやり)、或は山刀(やまがたな)を薙刀(なぎなた)のごとくに作りあるもの、鉄炮(てつはう)山刀斧(をの)の類(るゐ)也。刃鈍る時は貯へたる砥(と)をもつて、自(みづから)研(と)ぐ。此道具も獣皮を以て鞘となす。此者ら春にもかぎらず冬より山に入るをりもあり。
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○熊捕(くまとり) 2/7
〈熊を捕る手順と、マタギの道具〉
||此者らが志(こゝろざす)所は我国の熊にあり。
■よそから来るマタギの目的は、この地方の熊です。
||さて我山中に入り場所よきを見立(みたて)、木の枝藤蔓を以て仮に小屋を作りこれを居所(ゐどころ)となし、おの/\犬を索(ひき)四方に別(わかれ)て熊を窺(うかゞ)ふ。
■山中に入り込むと、よさそうな場所を見立てると、
木の枝や藤蔓(フジヅル)で仮小屋を建てて、ベースキャンプを張ります。
各人は犬を連れて四方に分担して、熊の居そうな場所を探します。
||熊の穴居(こもり)たる所を認(みつくれ)ば目幟(めじるし)をのこして小屋にかへり、一連の力を併(あはせ)て、これを捕る。
■穴ごもり(冬眠)の場所を見つけると、
その場所に目印の幟旗を立てて一旦根拠地(ベースキャンプ)に戻ります。
その上で、全員が総出で協力して熊を捕るのです。
||その道具(だうぐ)は柄(え)の長さ四尺斗りの手鎗(てやり)、或は山刀(やまがたな)を薙刀(なぎなた)のごとくに作りあるもの、鉄炮(てつはう)山刀斧(をの)の類(るゐ)也。
■熊を捕る道具は、柄の長さ1.2メートルほどの【手鎗(てやり)】。
または鉈(なた、山刀)を長刀(なぎなた)のように製作した道具。
そして鉄砲や斧(おの)などを武器にします。
||刃鈍る時は貯へたる砥(と)をもつて、自(みづから)研(と)ぐ。此道具も獣皮を以て鞘となす。此者ら春にもかぎらず冬より山に入るをりもあり。
■刃が鈍ってきた時は、携帯している砥石を使って砥ぎます。
砥石の鞘(さや、ケース)も皮で作ってあります。
これらの人びとは、春に限らず冬の最中でも山に入っていることもあります。
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